人も間も心も緩やかに繋ぐ アウトドアリビング&インドアガーデン ミラー奈美 審査員講評

内と外の境界線が無い、キャンプライフそのものの感覚を持ち込んだインテリアとして、「今」を強烈に感じさせる空間構成です。毎日が旅行気分という発想は、自宅にいて非日常を味わえる素敵な提案ですね。自宅の庭が、人々が集まる場となっていて、バーベキューを楽しんだり、バータイムが楽しめたり、出かけなくとも、自分も家族も友達も近所の皆さんも交流できる場は、今までの日本にはなかった空間であり発想と思われますが、これからの社会には必要な新たな「オープン・プライベート・プラットフォーム」となる可能性を感じます。

一般社団法人日本エシカル推進協議会 会長 生駒芳子

内部から外部へと無理なくつながった、居心地のよさそうな空間が魅力的である。現代的な設えの空間でありながら、日本の伝統的な空間秩序をほうふつとさせる。コロナ下のような外出がままならない状況にあっても、快適な暮らしが満喫できそうである。セルフリノベーションによるインテリア空間の優れた作品と評価できる。

日本インテリア学会(JASIS) 会長 直井英雄

住宅におけるDIY、Do it yourself(自分でやれ)は市民運動としてイギリスで発祥しアメリカで広く普及した。しかしそれは作家ローラ・インガルスが暮らした19世紀西部開拓時代の「大草原の小さな家」とは意味が違う。生きるための家づくりではなく、自分でやることに生きるよろこびを見出すことがDIYの心髄だ。まさに然り、この作品から自分自身で自分の好きなようにやる、その幸せ感がダイレクトに伝わってくる。わたくしたちはコロナで不自由な生活を強いられた。「Withコロナからの新しいくらしのかたち」とは。そう、それは「自分でやれ」なのだ。

一般社団法人日本空間デザイン協会(DSA) 名誉会長 官浪辰夫

応募者ご本人の住まわれている住宅のセルフリノベーション。本格的なBBQを行える半屋外のグリル付きキッチンのある半屋外空間とその延長に屋外テラス空間をウッドデッキでつなげ、日常的にも使用でき、ゲストも呼べる生活を楽しむための空間を自ら制作されており、「暮らす空間」から「人が集る空間」へとリノベーションされており、応募者自身が何より空間作りを楽しまれている様子が伝わる作品であったところが評価された。

公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会(JID) 理事長 丹羽浩之

すべての想いがこのタイトルに集約されている。長い時を経て暮らしが成長していく変化を楽しみ受け入れ、インテリアがそこに大きな力を発揮している。和室からの半屋外キッチン、続くテラスにはどこにも境界がなく流れるような動線と自然との交わりが心地よい。間合いがよいことをタイトルが表現している。人生を自ら楽しむ方向に引っ張っていく、そこに自然と人が集まる。気負わず自然体で人生を愉しむ緩やかな空間が高く評価された作品。

一般社団法人 日本フリーランスインテリアコーディネーター協会(JAFICA) 会長 江口惠津子